まぶたが上がりにくい状態
まぶたを上げる力が弱くなる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」は、多くの場合、加齢による変化が原因で起こります。特に、ハードコンタクトレンズを長年使っている方にも見られることがあります。
主な原因は、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋/じょうがんけんきょきん)と、まぶたをつなぐ「腱(けん)」の部分がゆるんだり、はがれたりすることで、筋肉の力がまぶたにうまく伝わらなくなることです。これを「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」と呼びます。

手術では、このゆるんだ腱をいったん外し、しっかり前に出してから、まぶたに再度しっかりと縫い付けて固定します(挙筋短縮術/きょきんたんしゅくじゅつ)。 ただし、筋肉自体の力が弱い場合や、まぶたを動かす神経に麻痺がある場合は、この方法では効果が得られないため、おでこの筋肉(前頭筋/ぜんとうきん)の力を使っての力を使ってまぶたを上げる方法をとる必要があり、専門の病院へ紹介させていただきます。
他に、擬似的な眼瞼下垂としてよく見られる、加齢性の眼瞼皮膚弛緩に対しては、尾毛下もしくは瞼縁皮膚切除を行います。
当院では、まぶたを引き上げる筋肉の腱膜(けんまく)を目の裏側の結膜から丁寧にはがし、前方に引き出して固定する方法です。
手術では、下まぶたのふちから2〜3㎜ほどの位置を、目頭から目尻まで切開し、ゆるんでしまった腱膜をしっかりとまぶたに縫い付けて、自然な位置に戻します。
ゆるみが特に強い場合には、まぶたの外側(目尻)にある靭帯(じんたい)を引き締める追加の処置を行うこともあります。これにより、より安定した仕上がりが期待できます。

ドライアイの治療
涙点(るいてん)とは、目の内側(鼻の近く)の上下まぶたに1つずつある、小さな涙の出口のことです。左右の目で合計4つあります。
目の表面をうるおしてくれる涙は、上のほうにある「涙腺(るいせん)」から分泌されます。その涙は、必要がなくなった分がこの涙点から流れ出していきます。
ドライアイの人は、涙がすぐに流れ出てしまい、目の表面が乾きやすくなっています。そこで、涙点に「涙点プラグ」という小さな栓を差し込んで、涙がすぐに出ていかないようにし、目に涙をためることで、うるおいを保つ治療を行います。
プラグにはさまざまなサイズがあり、涙点の大きさや場所に合わせて選びます。必要に応じて、下の涙点だけに装着したり、上下両方に装着することもあります。 この方法は、比較的簡単に行えるドライアイの治療として多くの方に用いられています。
涙の通り道(涙道)が狭くなる、あるいは詰まってしまった場合、涙道チューブという柔らかいチューブを涙道の中に入れて、内視鏡の映像を見ながら詰まっている部分を丁寧に開通させる治療を行います。 詰まりを無事に開けることができたら、「ヌンチャク型シリコンチューブ(NSチューブ)」という柔らかいチューブを涙道に留置し、通り道を保ちます。 その後、通り道がしっかり開いた状態で安定した頃(1〜3ヶ月後)にチューブを取り外します。手術は負担の少ない方法で行い、術後も日常生活を続けながら経過を見ていくことができます。