血流の悪くなった網膜にレーザーを照射することで、VEGFの産生を抑えることが期待できます(レーザーが当たった網膜は死滅するため、同じ部分からのVEGFの産生が減少します)。
レーザーの照射による治療で黄斑部浮腫や視力の改善はできないものの、血流の悪い範囲が広い場合など、硝子体出血を予防するために行います(VEGF産生を抑え、新生血管の発症リスクを低減します)。
血流の評価には方法としては、通常では造影剤を用いた検査が必要ですが、当院では造影剤を使わずに血管撮影を行うことができる設備を備えており、侵襲なく血流の評価を行うこともできます。
その他、網膜裂孔などに対して行うこともあります。場合によっては、(特殊)治療の適応となります。
光凝固手術(レーザー治療)は眼底全周の広い範囲にレーザーをあてる治療方法です。 特に糖尿病によってできる異常な血管(新生血管)の働きを抑えるために行います。 出血が起きている場合は、できるだけ早く治療を始める必要があります。
治療は外来で受けられ、片目あたり5〜10分程度で終わり、通常は数回に分けて治療を進めていきます。
レーザーを当てる前には点眼麻酔を使いますが、痛みを感じやすい方には、より深く効く麻酔(テノン嚢下麻酔)を使うことで、ほとんど痛みなく治療を受けることも可能です。

レーザーの効果で眼底の活動性が落ち着けば、あとは定期的な通院で経過を見ていきます。 ただし、進行が進んだ重い状態の増殖糖尿病網膜症では、レーザーだけでは十分に効果が出ないことがあります。 その場合は他の治療(抗VEGF注射や硝子体手術)を組み合わせて対応します。 手術を行う際も、あらかじめレーザー治療をしておくことで、手術中の出血リスクを下げることができます。
なお、レーザーは熱によって網膜の一部を固める治療のため、視野の一部が見えづらくなったり、黄斑(ものを見る中心部)のむくみが悪化することもあります。そのため、症状や状態をしっかり見極めたうえで、安全に行うようにしています。